
COA(成分分析証明書)の読み方
お品書き
COA(成分分析証明書)の読み方についてまとめています。
COA(成分分析証明書)の読み方
はじめに:COA(Certificate of Analysis)とは?
COA(Certificate of Analysis)は、製品が安全かつ高品質であることを示すために、第三者検査機関が発行する「分析証明書」です。
特にCBDなどカンナビノイド製品を取り扱う事業者にとっては、製品に含まれる成分や安全性を証明する重要な根拠となります。
- 安全性の保証:有害物質(農薬、重金属、微生物など)が含まれていないか
- 成分含有量のチェック:CBDやTHCなど、主要カンナビノイドの濃度が適切か
2024年12月には日本国内で大麻由来成分の取り扱いがさらに厳格化され、「THC残留限度値」が定められます。
これにより事業者は、COAを確認して法規制を遵守することが、いっそう重要になってきます。
💡 ヒント
新基準(2024年12月施行)では、製品形態ごとに厳格なTHC残留限度値が設定されるため、COAによる証明は必須といえるでしょう。
フルパネルCOAという考え方
フルパネルCOAとは、多角的な検査項目を一度に実施した結果をまとめた証明書です。
アメリカ・カリフォルニア州の大麻取締局(DCC)では、大麻製品の安全性を確保するために以下のような幅広い検査を求めています。
- 農薬
- 重金属
- 微生物
- 残留溶媒
- マイコトキシン など
これらを一括で検査した場合、フルパネルCOAとして発行されます。
弊社(Anresco)では、アメリカ本社の技術力を活かし、DCCや各州要件に準拠した検査を提供。
詳しくは フルパネル検査 もあわせてご覧ください。
COAの基本構成
検体情報と検査機関情報
- 製品名・ロット番号
どの製品・ロットのサンプルか特定する情報 - サンプル採取日・検査日
いつサンプルを取り、いつ検査したのか - 検査機関の認証状況
- ISO17025
- 厚生労働省指定検査機関登録 など
💡 ヒント
ISO17025などの国際規格を取得した検査機関かどうかの確認は、データの信頼性や検査の正確性を判断する上で重要です。
分析項目の概要
- カンナビノイド含有量
- CBD, CBG, CBN, Δ9-THC, THCA など
- 安全性項目
- 農薬(数十~100種類以上が対象)
- 重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、水銀など)
- 微生物(サルモネラ、志賀毒素産生大腸菌、アスペルギルスなど)
- 残留溶媒(エタノール、ブタン、ペンタンなど)
- マイコトキシン(アフラトキシン類、オクラトキシンAなど)
- 異物混入・水分活性 など
- LOD/LOQ(検出限界・定量限界)
- 検査機器や分析方法ごとに、測定可能な最低濃度が決まっている
- ND(Not Detected)は“0”ではなく、定量限界未満を示す可能性もある
新基準との関連:THC残留限度値
2024年12月施行の基準値
日本では2024年12月から、下表のとおりTHC残留限度値が厳格化されます。
製品区分 | 新基準(2024年12月施行) |
---|---|
油脂・粉末 | 10 ppm |
水溶液 | 0.1 ppm |
その他 | 1 ppm |
これらの基準値を超える製品は、販売不可や回収命令の対象になる可能性があるため、COAで確実に確認する必要があります。
THCの算出方法
THC残留限度値は、
Δ9-THC + (Δ9-THCA × 0.877)
の合計で評価されます。COA上ではΔ9-THCとΔ9-THCAが別々に記載されることが多いため、これらを合算して基準値を超えていないかチェックしましょう。
LOD/LOQ(検出限界・定量限界)の意義
- ND(Not Detected)と「0%」の違い
「ND」は、測定した結果が検出限界(LOD/LOQ)よりも低い数値であることを示すため、“完全に0”とは限りません。 - LOQ未満が報告されるケース
計測自体はされていても、定量限界未満だと数値が出ない形で「未検出」とレポートされる場合があります。
COAで注目すべき主な項目
-
カンナビノイド含有量
- 品質表示との整合性:製品ラベルに記載されているCBD濃度と合っているか
- THC含有量:Δ9-THC + (Δ9-THCA × 0.877) で算出した値が新基準をクリアしているか
-
安全性検査項目
- 農薬:66種類以上を網羅する場合が多い
- 重金属:ヒ素(As)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)など
- 微生物:サルモネラ菌や志賀毒素産生大腸菌、アスペルギルス属菌など
- 残留溶媒:エタノール、ブタン、ペンタンなど
- マイコトキシン:アフラトキシン類、オクラトキシンA
- 異物混入・水分活性:異物や菌繁殖のリスクを評価
-
フルパネルCOAの場合
- すべての上記項目を網羅し、一度に確認可能
- 合格製品には「Anrescoバッジ」などの情報が付与されるケースも
COAを読むステップ(具体例)
-
Step 1:基本情報を確認
- 製品名やロット番号が、自社管理のラベルと一致しているか
- 検査機関の認証(ISO17025など)はあるか
-
Step 2:カンナビノイド含有量のチェック
- THC残留限度値(油脂/粉末/水溶液/その他)と比較し、基準内かを確認
- CBDなど主力成分の数値が、製品の表示と整合しているか
-
Step 3:安全性項目の合否・検出結果を確認
- 「ND」は定量限界未満を意味する可能性がある
- 農薬や重金属などが基準値を上回っていないか、微生物汚染はないか
-
Step 4:不明点や疑義がある場合
- フルパネル検査の詳細ページや公式リソースを参照する
- 必要に応じて検査機関へ問い合わせをする
COAの活用メリット
-
安全性と品質保証
- 第三者機関の検査結果で消費者の信頼を得やすい
-
法規制遵守の確認
- THCなど規制対象成分を正確に把握し、違反リスクを低減
-
ブランド力・差別化
- フルパネルCOAの提示により、透明性と付加価値を高める
まとめ
COAはCBD製品などカンナビノイド製品の安全性と品質を示す最も重要な証明書です。
2024年12月に施行される新基準(THC残留限度値)に対応するためにも、COAの各項目を正しく理解し、基準をクリアしているかどうかを確実にチェックする必要があります。
また、ラベルや公表値とCOAのデータを照合することで、製品表示の整合性も確認できます。
さらにフルパネルCOAを活用すれば、カンナビノイドだけでなく農薬や重金属、微生物、溶剤など幅広い安全性項目を一度に確認可能です。
総合的な安全性が担保されるため、消費者の安心感向上と法規制リスクの回避、ブランド価値の向上につながります。
COAを正しく読みこなして、より安全で高品質なCBD製品づくりを目指しましょう。
よくある質問
COAを確認する際に最も重要なポイントは何ですか?
まずは製品ラベルとロット番号が一致しているか、そして検査機関がISO17025などの国際規格を取得しているかを確認しましょう。次に、CBDやTHCなど主要カンナビノイドの含有量と、農薬・重金属などの安全性項目の合否をしっかり見ることが大切です。
フルパネルCOAは必ず取得するべきですか?
法的義務というよりは、消費者に安心して製品を選んでもらうための『品質保証』としての役割が大きいです。幅広い項目を同時に網羅しているフルパネルCOAがあれば、安全性と品質をより総合的にアピールできます。
ND(Not Detected)表示でも微量が含まれる可能性があるのですか?
はい。NDは検出限界(LOD/LOQ)よりも低い数値だったという意味です。完全に0を示すわけではないため、まったく存在しないとは断言できません。ただ、規定の検出限界を下回っているという点では安全性の指標になります。
2024年12月施行のTHC残留限度値は具体的に何が変わるのですか?
大麻取締法などの関連法令が厳格化され、製品区分ごとに定められたTHC残留限度値(油脂・粉末:10ppm、水溶液:0.1ppm、その他:1ppm)を超えた場合、市場での流通が難しくなります。COAで厳密に管理しておくことが不可欠です。
ロット番号が違うと同じ製品でも検査結果が変わる可能性はありますか?
あります。生産ロットごとに原料の品質や製造過程に微妙な違いが生じることがあるため、検査結果に差異が出る場合があります。品質管理の観点からも、ロットごとのCOAを確認することが望ましいです。
フルパネルCOAと部分的なCOAのどちらを選ぶべきですか?
安全性や信頼性の観点からは、できるだけフルパネルCOAを選ぶほうが安心です。農薬や重金属など幅広い項目を一度に検査しているため、総合的な品質を示す大きな根拠になります。予算や必要性に応じて検討してください。