2024年新法案後のTHC残留限度値と検査対応:実践ガイド

2024年新法案後のTHC残留限度値と検査対応:実践ガイド

2024年12月12日(令和6年12月12日)より、日本国内のカンナビノイド製品に対するTHC残留限度値が大幅に厳格化されます。特に油脂や粉末形状の製品、飲料水など 製品形状によって許容される基準値が変わる ため、適切な検査体制とロット管理が欠かせません。本記事では、新たに施行される基準の詳細と、事業者が準備すべき実践的な対策をまとめました。


新法案で定義されるTHC残留限度値

合算評価:Δ9-THC + (Δ9-THCA × 0.877)

今回の法改正では、Δ9-THCとΔ9-THCAを合算し、 総THC量 として評価します。具体的には、

総THC = Δ9-THC + (Δ9-THCA × 0.877)

この合算値が、製品形状ごとに定められた残留限度値以内に収まっているかをチェックします。

形状別の残留限度値の目安

  • 油脂・粉末製品:10 ppm
  • 水溶液(飲料など):0.1 ppm
  • その他形状:1 ppm

⚠️ 警告ボックス
いずれの製品形状でも基準値を超過すると違反扱いとなるため、厳しい罰則や販売停止などのリスクがあります。
対応が遅れると事業継続に大きな影響が出る可能性があるのでご注意ください。


主要な検査方法と推奨するLOQ

LC-MS/MS(液体クロマトグラフ−三連四重極質量分析計)

高感度かつ選択性の高い分析手法として、多くの検査機関が採用しています。

  • 推奨定量下限(LOQ)
    • 飲料水など:0.001 mg/kg(Δ9-THC) / 0.0005 mg/kg(Δ9-THCA)
    • その他の製品:0.05 mg/kg(Δ9-THC) / 0.01 mg/kg(Δ9-THCA)

LC-QTOF MS(液体クロマトグラフ四重極飛行時間型質量分析計)

より精密で広範囲のスクリーニングが可能ですが、装置コストやオペレーションが高額になる傾向も。

  • 推奨定量下限(LOQ)
    • 飲料水など:0.0025 mg/kg(Δ9-THC) / 0.005 mg/kg(Δ9-THCA)
    • その他の製品:0.25 mg/kg(Δ9-THC + Δ9-THCA) / 1 mg/kg(油脂製品におけるΔ9-THCA)

検査コストや検出精度のバランスを考慮し、最適な検査手法を選択することが重要です。


実践ガイド:事業者が取るべき対策

🔢 ステップリスト
  1. ステップ 1 事前リサーチと原料選定
    原料調達先のトレーサビリティやTHC含有リスクを把握し、基準値を満たしやすい原料を確保します。

  2. ステップ 2 ロットごとのサンプル検査
    入荷時点でロットごとにサンプルを採取し、 LC-MS/MS LC-QTOF MS を活用した検査を実施します。

  3. ステップ 3 製造工程・配合レシピの見直し
    油脂や粉末形状でのリスクが高い場合は、抽出工程の最適化や他の形状への切り替えも検討します。

  4. ステップ 4 完成品の最終確認
    製品出荷前に再度検査を実施し、合算値が基準を下回っているか最終チェックを行います。


Anrescoが提供するサポート

1943年創業のAnrescoは、食品検査・カンナビノイド検査の長年の実績を活かし、 日本での新基準対応に最適なサポート を提供しています。

1. 高感度の分析手法

AnrescoはISO17025認定を取得しており、LC-MS/MSやLC-QTOF MSなど最先端の分析装置を備えています。

  • 油脂製品や粉末製品:形状別のサンプル前処理を20種以上開発
  • 水溶液:低濃度のTHC検出にも対応

2. コンサルティングとレシピ提案

日本支社では、アメリカ本社のノウハウを継承しつつ、 形状別の最適な抽出・前処理方法 をアドバイス可能。基準値を満たすためのレシピ見直しや製造工程の改善をサポートします。

💡 情報ボックス
Anrescoが行うコンサルティングでは、THC除去技術抽出溶媒の最適化などについても具体的な提案を行い、クライアント企業の違反リスクを徹底的に低減します。


よくある質問

よくある質問

Q1: THC残留限度値は今後さらに厳しくなりますか?

今後、国際的な規制強化が進む中で、より厳しい基準が検討される可能性はあります。現在は2024年12月の法改正が最優先ですが、引き続き海外動向や国内行政の通達を注視しましょう。

Q2: Δ9-THCAを含む製品でも規制対象になりますか?

はい。今回の基準ではΔ9-THCとΔ9-THCAを合算して評価します。Δ9-THCAが熱や酸でΔ9-THCに変換される可能性も考慮する必要があります。

Q3: 検査にかかるコストはどのくらいですか?

サンプル数や検査項目、使用する分析手法によって異なります。Anrescoでは費用対効果の高いプランも提案可能ですので、まずはご相談いただくのがおすすめです。


まとめ

2024年12月12日に施行される新基準によって、THC残留限度値が大幅に厳格化されます。特に油脂・粉末製品(10 ppm)水溶液(0.1 ppm)、**その他形状(1 ppm)**では、それぞれの基準値内に収まるよう徹底した検査と管理が必要です。
また、Δ9-THCとΔ9-THCAの合算という評価基準も新たに導入されるため、 熱や製造工程での変換リスク を見越した対策が欠かせません。

Anrescoでは、LC-MS/MSやLC-QTOF MSを用いた高精度分析からレシピ調整のコンサルティングまでワンストップでサポート。
グローバルな実績と日本の法規制に合わせた専門知識を活かし、違反リスクを最小限に抑える体制を構築いたします。早めの準備で2024年の新法案に備え、安全かつ安心な商品開発・販売を行いましょう。